※お薬についての情報提供であって宣伝目的では決してありません。使用にあたっては医師・薬剤師と十分ご相談下さい。
こんばんは。
理学療法士のRYUです。
シリーズあなたが飲んでいる糖尿病の薬は?編。これまでまとめてきたのは、
タイプ1;膵臓からインスリンの分泌を促して血糖値を下げるタイプ
タイプ2; インスリンの効きを良くして血糖を下げるタイプ
タイプ3;食後の高血糖を下げるタイプ
タイプ4;血糖値の上昇に合わせてインスリン分泌を促し血糖値を下げるタイプ
タイプ5;早めに膵臓からインスリンの分泌を促して血糖値を下げるタイプ
です。
今回は、尿からブドウ糖を排泄することで血糖値を下げる働きのあるSGLT2阻害薬についてまとめていきたいと思います。
商品名でいうと、スーグラ錠®、フォシーガ錠®、ルセフィ錠®、アプルウェイ錠®、デベルザ錠®、カナグル錠®、ジャディアンス錠®などになります。
それでは、どのような作用や効果があるのか。注意点は何なのかについてみていきましょう。
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新しい?!SGLT2阻害薬の効果・作用とは?
簡単に言うと、先程書いたんですが、尿からブドウ糖を出してしまうことで血糖値を下げるという効果のあるお薬です。
ブドウ糖は、通常は血管の中を流れていく過程で筋肉や脂肪など様々な所に吸収されていきますが、残った分は腎臓で尿の元である「原尿(げんにょう)」に含まれています。
そして、その原尿(げんにょう)には体にまだ使える成分が残っているため、必要な分は再吸収するんですね。
人間の体ってよくできてますね。
そこで、原尿(げんにょう)に残っている糖を再吸収するのがSGLT2という輸送体の仕事です。
SGLT2阻害薬というのは、このSGLT2という輸送体の仕事を邪魔するので、尿にブドウ糖が混ざった状態で出ていってしまうことで血糖値を下げるというお薬になります。
ちなみにお薬を使わなくても、あまりに血糖値が高いとブドウ糖が再吸収されずに尿に混ざってしまいます。
通常、血糖値が160-180mg/dLくらいで尿からブドウ糖が出ると言われています。
いわゆる「尿糖(にょうとう)陽性」というやつですね。
SGLT2阻害薬を使っていると、血糖値に関係なく尿から糖が出るので、尿糖陽性になるんですね。
尿から糖を出すという考えは新しいですよね。
ブドウ糖はインスリンによって脂肪にも貯め込まれるため、SU剤のようにインスリンの分泌を促すようなお薬では体重が増えることがありますが、このSGLT2阻害薬は尿からブドウ糖を出してしまうので体重は低下するという効果があります。
なので、肥満の糖尿病患者さんに適応があるようです。
さて、注意点も今説明してきた「尿からブドウ糖を出す」という作用に関係しています。
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感染しやすい!SGLT2阻害薬の注意点
尿に糖が混ざっているということは、細菌たちにとっては「餌がたくさんある」状態になってしまいます。
なので、尿路感染症、性器感染症には注意が必要です。
重篤な場合には腎盂腎炎などから敗血症になる場合もあるようです。
また、尿量が増えることがあり、頻尿・多尿になります。なので、尿を作り出す腎臓に元々機能低下がある方の場合には、あまりいい適応にはなりません。
また、高齢者の場合には頻尿・多尿から脱水になる可能性が考えられます。
脱水症は、糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞などの危険性にもつながるので適度な水分補給が必要になります。
あとは、ブドウ糖が普段よりも体で使われなくなるので、体はエネルギーを生み出すのに肝臓で糖新生という機能を使って脂肪などからエネルギーを作り出します。
その過程でケトン体が出るので、尿からケトン体が出ることがあります。
ケトン体は、糖尿病ケトアシドーシスで出ることがあるのでとりあえず書いてみました。
なので、糖尿病ケトアシドーシスという重篤な状態で出るケトン体は、通常の治療でも出ることがあるということで、「ケトン体=悪いもの」というわけではないということがお分かりいただけるかと思います。
低血糖に関しては、単独使用では危険性は低いと言われていますが、インスリンやSU剤などと併用した場合には危険性があると言われています。(他の経口血糖降下薬との併用でも低血糖の報告がされているようです)
いかがでしたでしょうか。
SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬の中では最近出たお薬です。
最近は、よく出るようになってきているお薬のようですが、まだまだこのお薬を十分に使いこなせる医師も不足しているのではないかと思います。
ただし、血糖値を下げる作用は画期的なもので、これからどんどんこのタイプのお薬は出てくるのではないかと思われます。
実際に、このSGLT2阻害薬と他の糖尿病薬との配合錠も出ているようで、うまく使うことで良好な血糖コントロールが得られるものではないでしょうか。
また、お薬に関しては随時ご紹介していけたらと思っております。
ご自身が飲んでいるお薬はどういったお薬なのかを理解することで普段注意しなければならないことなどがわかると思いますので、日々の療養に役立ててみて下さい!
それでは!
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