特殊な糖尿病について知っておこう

こんにちは。

理学療法士のRYUです。

以前、糖尿病には大きく分けて4種類あるという記事を書きました。

(その時の記事はこちらからどうぞ「糖尿病は何種類?」)

1型糖尿病2型糖尿病妊娠糖尿病は、比較的知られた病気でありそれなりに知名度はあるかと思いますが、もう1つの糖尿病の種類である「特定の機序、疾患に伴うもの」についてはあまりご存知でない方も多いのではないでしょうか。

先日、その中の「ミトコンドリア糖尿病」については書かせてもらいました。

今回はこの「特定の機序、疾患に伴う」糖尿病についてその他一部をご紹介できればと思っています。

たくさんあるので、原因となる病名のみ記載されているものもありますのでご了承ください。

では、みていきましょう。

(参考文献;PRACTICE,35(4),2018)
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若年発症成人型糖尿病(MODY)

MODY(maturity-onset diabetes of the young)は、常染色体優性で発症する糖尿病です。

糖尿病患者のうち、数%を占めると言われていますが、1型糖尿病や2型糖尿病と誤って診断されている場合も考えられています。

内分泌疾患からくる二次性の糖尿病

血糖値に影響するのは食事だけではなく、体から分泌されるホルモンも影響します。

そのためそれらのホルモンの分泌に関連した疾患においても二次的に糖尿病の病態になる場合があります。

それらは二次性糖尿病と言われています。

二次性糖尿病を呈することがある疾患を挙げていきます。

先端巨大症

クッシング症候群

甲状腺機能亢進症

原発性アルドステロン症

褐色細胞腫

ソマソスタチノーマ

グルカゴノーマ

成長ホルモン欠損症

性腺機能低下症

薬剤に起因する糖尿病

インターフェロン(interferon;IFN)というお薬をご存知でしょうか。

主に抗ウィルス薬、抗がん剤としても用いられているもので、体がウイルスや腫瘍などの異物に対して増殖を抑えるために細胞から分泌される物質でもあります。

インターフェロンを用いた治療では、その副作用として自己免疫疾患の発症が報告されているようで、その中に(1型と同様の病態を呈した)糖尿病も含まれています。

その他には、免疫チェックポイント阻害薬による(1型と同様の病態を呈した)糖尿病もあります。

免疫チェックポイントというのは、
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免疫チェックポイントは過剰な免疫反応を抑制し、自己免疫疾患等の発生を抑える働き

(Wikipediaより引用)

免疫チェックポイント阻害薬というのは、免疫反応の抑制が解除されます。主にがんの治療に用いられるものです。

このお薬を使用している方の中で(1型と同様の病態を呈した)糖尿病を発症したという報告があるようです。

Wolfram症候群

Wolfram症候群は常染色体劣性遺伝疾患で、若年発症の糖尿病が初発症状となり、次いで視神経萎縮により視力障害を来します。

糖尿病と視神経萎縮(多くが全盲となる)に加えて内分泌代謝系、精神神経系を広範に障害し、尿崩症、難聴、尿路異常、多彩な神経・精神症状(呼吸不全、構音障害、嚥下障害、抑うつ、双極性障害)などを合併するようです。

それぞれ特徴的な症状から、DIDMOAD(Diabetes Insipidus,Diabetes Mellitus,Optic Atrophy,Deafness)症候群とも呼ばれています。

日本には約200人ほどの患者さんがいらっしゃるようで、指定難病となっています。

脂肪萎縮性糖尿病

脂肪と糖尿病には深いつながりがあります。

以前、脂肪と糖尿病の関係については記事にしましたのでそちらも是非ご一読いただきたい(【糖尿病の合併症】メタボが糖尿病に影響する)のですが、

脂肪と糖尿病の関係に深く関わっているのはアディポサイトカインという物質の分泌異常があります。

アディポ(脂肪)+サイトカイン(生理活性物質)は、普段は脂肪や糖を体でうまく利用できるように生み出したり、分解したりする調整機能をになっているものの総称です。

レプチン(脂肪が貯まりすぎると分泌され食欲を抑えることで脂肪の増加を防ぐ)、アディポネクチン(動脈硬化を予防する効果がある血管の修理屋さん)、TNFα(ティーエヌエフアルファ;インスリンの効きを悪くする)、PAI-1(血栓という血液の塊ができやすくなるので心筋梗塞や脳梗塞の引き金になる)、アンジオテンシノーゲン(血圧を上昇させるホルモンを活性化する)などがあります。

脂肪萎縮性糖尿病は全身あるいは部分的に脂肪組織が減少、あるいは消失する疾患です。

脂肪細胞が欠如する疾患のため、アディポサイトカインの産生異常から糖尿病を発症するようです。

インスリン受容体異常症

インスリン受容体というのはあまり聞き慣れないですよね。

インスリン受容体は糖質の通る玄関口のようなもので、その玄関の扉を開けるのがインスリンというイメージでしょうか。

「インスリンは血糖値を下げる」というのは一般的に知られていることですが、血糖値を下げるというのは血液中の糖質を脂肪や筋肉などの各細胞に取り込むことで成立します。

この各細胞への糖質の取り込みを促す役割があるのがインスリンですが、糖質を受け取る側の細胞の表面(細胞膜)にはインスリン受容体というタンパク質があって、インスリン受容体とインスリンがくっつく(結合)することで初めて糖質が細胞に取り込まれます。

取り込まれた糖質は細胞の中でエネルギーとして変換されるわけですね。

インスリン受容体異常症は、インスリン受容体

インスリン受容体異常症A型・B型

Donohue症候群

Rabson-Mendenhall症候群

嚢胞性線維症

嚢胞性線維症(cystic fibrosis;CF)は、慢性呼吸器疾患、汗の電解質異常、膵外分泌不全を三大主徴とする常染色体劣性遺伝疾患です。

糖尿病を合併しやすく、嚢胞性線維症関連糖尿病(cystic fibrosis-related diabetes;CFRD)と呼ばれ1型糖尿病や2型糖尿病とは別に取り扱われているようです。

いかがでしたでしょうか。

私の勤務する医療機関で関わる患者様は、そのほとんどが2型糖尿病ですが、今回ご紹介したような特殊な糖尿病も知っておくことで医療従事者として医師と連携しながら患者様の病態を捉える手がかりになるのではないかと思います。

ぜひ、頭の隅に置いていざというときの引き出しにいれておきましょう!

それでは!
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