こんにちは、RYUです。
久々の記事ですが、今回は最近読んだ本の紹介をしたいと思います。
タイトルは、「リハに役立つ 論文の読み方・とらえ方」です。
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なぜ、この本を読んでみようかと思ったかと言えば、単純に論文を読むのが苦手だからです。
大学では「研究法」という授業があり、基本的な論文の種類や特徴を学ぶ機会はありました。
また、卒業論文も書いており統計学的な手法を用いた分析を行いましたので、まったく分からないということではないのですが、特にシステマティックレビューについての読み方や、結果の読み方(95%信頼区間)も不勉強でした。
また、自分が知りたいクリニカルクエスチョンを調査し結果を分析する際に、どの統計学的手法を用いたらいいのかについても詳しくなく(一元配置分散分析とKruskal-Wallis検定したやったことがないので)勉強したいなと思っていたのです。
「リハに役立つ 論文の読み方・とらえ方」を読み学んだことについて書いていきたいと思います(タイトルの【書評】という書き方は、おこがましいですね。学ばせていただきました。)
全部で4章(序章含む)に分けて書かれている本になります。
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目次
序章は論文の基礎知識が中心
序章では、大学の研究法の授業でも学んだように、研究デザインについて書いてくれているので、養成校でざっくりと研究法を学んでいる方にとっては良い復習になると思います。
論文を読む際には、まず「自分が知りたいことが書かれている論文なのか」を検証する必要があります。そして、その論文に書かれていることが「すべて正しい」と思い込んでしまう、「情報バイアス」に注意する必要があることも改めて感じました。
論文はエビデンスの1つであり、一定の基準を満たしていることで、そのエビデンスは質の高いものになります。
そのため、読む側の私たちは、
①「自分の知りたいことが書かれている論文かどうか」
➁「書かれている研究デザイン、結果や解釈は適切か」
といった内容も吟味しながら読み進めていく必要があります。
序章では、この①に関して、どうやって吟味したらいいのかという方法論を紹介してくれています。
①自分の知りたいことが書かれている論文かどうか
まず自分の知りたいことをPICO/PECOにすることが大切だと書かれています。
PICO/PECOとは、
P Patient(対象)
I Intervention(介入) E Exposure(曝露)
C Comparison(比較)
O Outcome(アウトカム)
論文のタイトルとabstractから自身のPICO/PECOと照らし合わせて、自分の知りたいことが書かれている論文なのかを吟味することになります。
第1章は論文の調べ方と検証の方法
論文を探す際に、皆様はどんな検索を行っているでしょうか。
多くの方はGoogleスカラーで探しているのでしょうか。
大きい病院にお勤めの方や、学生のみなさんは医学中央雑誌やメディカルオンラインなど使用しているのかもしれません。
英語論文を調べるときには、PubMedなど使っていると思います。
この本には、その他にも多くの検索エンジンを、それぞれどういった特徴があるのかを含めて解説し紹介してくれています。
そして、先ほどの➁にありました、書かれている研究デザイン、結果や解釈が適切かどうかをどうやって吟味していったらいいのかの方法を伝授してくれています。
➁書かれている研究デザイン、結果や解釈は適切か
論文がある一定の基準を満たしていることを検証するために、「報告の質に関するガイドライン(報告ガイドライン)」があります。
例えば、RCT(ランダム化比較試験)であれば、CONSORT声明、観察研究であれば、STROBE声明、システマティックレビューであればPRISMA声明、症例報告であればCARE声明です。
この本の素晴らしいところは、実際の論文をそれぞれのガイドラインにあてはめて1つ1つ検証してくれているというところです。
ガイドラインがあるというのは知っても、「じゃあ実際にどうやってやればいいんだ」と疑問に思うことは、この本を読めば、おそらくないでしょう。
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第2章は統計学的手法について
第2章では、統計学的手法の使い方と結果の読み方について丁寧に解説してくれています。
具体的な統計学的手法は、
反復測定二元配置分散分析
一元配置分散分析
Student t検定(対応のないt検定)
Mann-WhitneyU検定
χ2検定
Kruskal-Wallis検定
Pearsonの積率相関係数
Spearmanの順位相関係数
多重ロジスティック回帰分析
メタアナリシス
です。
統計の本が難しく感じる理由の一つに、数学的な解説が多く書いてあることが挙げられると思います。正直、難関国立大学の理学療法学科を受験する以外には、高校数学ⅢやCは受験科目から外れているため、数学に苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。
この本は、数学的解説ではなく、どういった場合に使う手法なのかという解説をしてくれているので、より臨床的というか、この論文ならどの手法が適切なのかということが考えやすいように思います。
さらに、それぞれの統計学的手法の結果の読み方を実際のデータを使った結果から解説してくれているため、大変読みやすいです。
例えば、
一元配置分散分析であれば、多重比較(Bonferroni法)や、F値、P値の説明。
メタアナリシスであれば、コクランQ検定、I²統計量、もちろん95%信頼区間、オッズ比、フォレストプロットなど。
などの説明や見方も説明してくれています。
よく、論文の結果に乗っている大量の表や、図に書いてある部分というのは言葉の意味や見方が分からないと、ただの暗号のように見えてしまって、ついつい読み飛ばして文章の方を中心に読みがちです。
ただ、この本を読んだ後は、きっと表や図を読むことを楽しく感じるのではないかと思います。
第3章は論文を読むための英語について
第3章は英語が得意な方にとっては、なんてことない内容かもしれません。
読む限り、高校英語に少し専門的な内容が加わっているかなと感じたくらいです。
私は公立大学の一般入試で大学に入学しましたが、特に内容が難しいとは思いませんでした。
英語が苦手だという方にとっては、効率よく英語論文が読めるためのヒントがたくさん詰まっているので一読の価値はあると思います。
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いかがでしたでしょうか。
最近は、ひたすらいろいろな本を読んでいます。
特に、現在地域包括ケア病棟に勤務している影響もあって地域包括ケアに関する本を多く読む機会がありますが、その中で今回は論文の読み方について、大変勉強になった本と出会ったので紹介させていただきました。
1回読んだら終わりではなく、論文を読む際には隣にこの本を置いて何度も読み直しながら知識を頭に落とし込んでいきたいと思います。
認定理学療法士の更新要件にも研究発表という項目が新設されるようですし、研究法に関しての見識を理学療法士が持つことの必要性は今後必然的に高まると思います。
もしご興味のある方は、ぜひご一読ください!
それでは!
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