特殊な糖尿病-ミトコンドリア糖尿病とは?-

こんにちは。

理学療法士のRYUです。

以前、糖尿病には大きく分けて4種類あるという記事を書きました。

(その時の記事はこちらからどうぞ「糖尿病は何種類?」)

1型糖尿病2型糖尿病妊娠糖尿病は、比較的知られた病気でありそれなりに知名度はあるかと思いますが、もう1つの糖尿病の種類である「特定の機序、疾患に伴うもの」についてはあまりご存知でない方も多いのではないでしょうか。

今回はこの「特定の機序、疾患に伴う」糖尿病の中から「ミトコンドリア糖尿病」をご紹介できればと思っています。

では、みていきましょう。

(参考文献;PRACTICE,35(4),2018)

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ミトコンドリア糖尿病

ミトコンドリア糖尿病(MDM;mito-chondrial diabetes mellitus)は、主にインスリン分泌が低下するタイプの糖尿病で、ミトコンドリア病に伴って起こることがあります。

ミトコンドリアというのは、体の中にたくさんある細胞の中でエネルギーを生み出す役割をしています。

ミトコンドリア病はDNAの変異によってそのエネルギーを生み出すシステムにエラーが生じることで起こる疾患群の総称で、指定難病となっています。

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞においてもミトコンドリアがエネルギーを生み出すことで起こる反応をキャッチしインスリンの分泌を行っています。

つまりミトコンドリア病によってエネルギーを作り出す能力が低下するとインスリンを分泌する能力も落ちてしまうというわけです。

ミトコンドリア糖尿病は糖尿病患者の約1%を占める母系遺伝糖尿病であり、低身長で痩せ型という特徴があります。また、糖尿病診断時の年齢は30代が多く、病態としては1型糖尿病もしくは緩徐進行型1型糖尿病と同様の病態が約半数、2型糖尿病の病態を呈すこともありますが、インスリンを分泌する能力が低下しているためインスリン治療が必要になるようです。また、感音性難聴を約90%と高率に合併することも特徴です。(日本糖尿病学会編;糖尿病遺伝子診断ガイド,第2版,文光堂,2003より)

患者数はどのくらい?

ミトコンドリア糖尿病は糖尿病患者の約1%程度にみられるようです。(一般社団法人日本内分泌学会HPより)糖尿病患者数は2015年厚生労働省の「患者調査」によると、316万6,000人となっていますので、約1%というと約3万人というところでしょうか。

しかし、ミトコンドリア糖尿病は見逃される場合もあるようで、正確な患者数については不明です。

症例報告でも長期に渡り2型糖尿病として治療を受けていた症例が挙げられていました。(真山 大輔ら;ミトコンドリア糖尿病の1例,2014,10(4),pp162-163)

ミトコンドリア糖尿病の原因の1つとなるミトコンドリア病の患者数については、平成24年度の医療受給者証保持者数で1087人となっています。(難病情報センターHPより)
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治療法はあるのか

ミトコンドリア糖尿病に対しては、ほとんどがインスリン療法となるようです。

また、ミトコンドリア病では糖尿病の他にも脳、腎臓、筋肉、聴覚など全身に様々な症状が現れることがあります。

それらに対しては、症状に合わせた対症療法(症状に合わせた治療)が行われます。現時点でミトコンドリア病に直接的に有効な治療法は確立されていないようです。

社会的な資源を有効に活用しよう

ミトコンドリア病は指定難病になっていますので、特定疾患治療研究事業の対象になります。医療費の助成や居宅生活支援を受けることができます。

それぞれの医療機関にて案内してもらえるかと思いますので、病院にいる「医療ソーシャルワーカー」に相談してみてください。

独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院遺伝カウンセリング室がミトコンドリア病について患者さんやご家族に病気のことをわかりやすく書いたハンドブックを作成し公開しています。

ハンドブックはこちらにリンクしています。

そちらもぜひ読んでみてください。

いかがでしたでしょうか。

このように、いわゆる生活習慣病と言われる糖尿病以外にもご病気によって二次的に発生するようなタイプの糖尿病も存在します。

今後は他にもいくつかご紹介できればと思っています。

それでは!
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