糖尿病の合併症【新シリーズ】内臓脂肪の蓄積が糖尿病に影響する

こんばんは。

理学療法士のRYUです。

今回は、糖尿病の合併症、メタボリックシンドローム(通称:メタボ)についてです。

その他の合併症についてはここにすべて載っていますので、ご覧ください。

こんなにある糖尿病の合併症

メタボリックシンドロームの知名度は非常に高いですよね。

メタボという言葉は元々、「内臓脂肪症候群」「シンドロームX」「インスリン抵抗性症候群」「死の四重奏」「マルチプルリスクファクター症候群」などと呼ばれていたものをまとめて統一する症候群として提唱されました。

知名度は非常に高い、メタボリックシンドローム(メタボ)ですが、メタボリックシンドロームだと何がいけないのかご存知でしょうか。メタボにはどんな危険が潜んでいるのか、なぜメタボではない方がいいのか、その意味までご存じの方はそこまで多くないような気もします。

私が記事にするということは、タイトルに有るように糖尿病と関係があるんですね。

今回は、メタボリックシンドロームが指し示すもの、どんな危険がひそんでいるのかについて書いていきたいと思います。
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まずは診断基準からチェック

各国によって診断基準が異なります。

日本の診断基準をみていきましょう。

まず、必須条件として

ウエスト周囲長が男性85cm、女性90cm以上

というのがあります。

この条件を満たした上で、次に挙げる3項目のうち、2項目以上に該当しているとメタボと診断されます。

①血中の中性脂肪(TG;トリグリセリド)の数値が150mg/dL以上またはHDL(善玉)コレステロール40mg/dL未満

②収縮期(上の)血圧130mmHg以上または拡張期(下の)血圧85mmHg以上

③空腹時(10時間以上絶食した時点での)血糖値が110mg/dL以上

みなさんはいかがでしょうか。

ちなみに、なぜ男性と女性でウエスト周囲長に違いがあるのかですが。

元々は、内臓脂肪の面積が100cm2を超えると血糖値や血圧に異常をきたす可能性が高くなるという結果が出ているのですが、内臓脂肪の面積を測るにはCTという画像を撮る必要があり、簡便ではありません。そこで、その内臓脂肪の面積に相当するウエスト周径ということで、男性85cm、女性90cmという数字が算出されています。

ウエスト周径は通常おへその高さで測定します。しかし、人によってお腹がぽっこりしすぎておへそが下の方にある場合もあります。

その場合には、肋骨の一番下と腰骨(こしぼね;上前腸骨棘;前ならえで先頭の人が腰に手を当てる部分)との中間地点の高さで測定するようです。

内臓脂肪の量=ウエスト周囲長ということで、これが必須条件ということは、この内臓脂肪が何か体によくないことを引き起こすきっかけになるということです。

メタボリックシンドロームと糖尿病との関係とは

メタボリックシンドロームは、糖尿病発症のリスクがメタボリックシンドロームでない方に比べて4-6倍になると言われています。

また、メタボリックシンドロームは心血管疾患の発症やそれによる死亡のリスクがメタボリックシンドロームではない方に比べて1.5-2倍になると言われています。

メタボリックシンドロームは、糖尿病や動脈硬化性疾患(狭心症や心筋梗塞)の原因となりうるということです。

その他にも、肥満や動脈硬化に関連した疾患である非アルコール性脂肪肝(NAFLD)や睡眠時無呼吸症候群、痛風(高尿酸血症)、慢性腎臓病、脳血管障害(脳梗塞など)との関係性が指摘されています。

メタボの方は男性に多い傾向がありますが、男女とも年齢を重ねていくごとに増加していくようです。

メタボではどうして糖尿病、動脈硬化性疾患の原因となりうるのでしょうか。内臓脂肪の蓄積は体にどんな悪影響をおよぼすのでしょうか。

また、メタボは、糖尿病、動脈硬化性疾患のリスクがあるということを踏まえて、どのように予防していくべきなのでしょうか。
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内臓脂肪の蓄積が引き起こすもの

1つは、アディポサイトカインという物質の分泌異常があるようです。

アディポ(脂肪)+サイトカイン(生理活性物質)は、普段は脂肪や糖を体でうまく利用できるように生み出したり、分解したりする調整機能をになっているものの総称です。

具体的には、レプチン(脂肪が貯まりすぎると分泌され食欲を抑えることで脂肪の増加を防ぐ)、アディポネクチン(動脈硬化を予防する効果がある血管の修理屋さん)、TNFα(ティーエヌエフアルファ;インスリンの効きを悪くする)、PAI-1(血栓という血液の塊ができやすくなるので心筋梗塞や脳梗塞の引き金になる)、アンジオテンシノーゲン(血圧を上昇させるホルモンを活性化する)などがあります。

それぞれがうまく機能していると体を健康に保つように機能してくれる調整機能なのですが、内臓脂肪の蓄積により、これらが異常をきたします。

例えば、レプチンは内臓脂肪の蓄積によって過剰に分泌されるようになりますが、蓄積が過ぎると体がレプチンに反応しにくくなります(レプチン抵抗性)。そのため、食欲が抑えられずさらに食べてしまい内臓脂肪を増やす原因になってしまいます。

アディポネクチンは、内臓脂肪の蓄積によって分泌が低下するので、動脈硬化を進行させてしまいます。

TNFαは内臓脂肪の蓄積により分泌が増加するのでインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性の増大)糖尿病の発症につながる危険があります。

PAI-1は、内臓脂肪の蓄積により分泌が増加し、動脈硬化が進んだ状態では血栓ができやすいため心筋梗塞や脳梗塞の発症につながります。

アンジオテンシノーゲンは、内臓脂肪の蓄積により分泌が増加し高血圧のもとになります。

このようにアディポサイトカインの分泌異常により糖尿病や動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症につながってしまうと考えられています。

内臓脂肪の蓄積が引き起こすもの-その2-

もう1つは、コレステロールによる影響です。

みなさん善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDL)というのはご存知でしょうか。

内臓脂肪というのは、皮下脂肪に比べて分解や合成が頻繁に行われます。

過剰な脂肪は分解されて中性脂肪として血液中に解き放たれます。そしてこれを運搬し体の足りない部分に補充しているのが、LDLコレステロール(厳密には運搬し終わった残りカスみたいなもの)です。

脂肪が過剰にある状態では、中性脂肪やLDLコレステロールが高くなるのはこれが理由です。

LDLコレステロールは、今度はHDLコレステロールへと変身し、体から余った脂肪を回収しに行きます。しかし、体に十分な脂肪がある状態だと、LDLコレステロールがどこに運んでいっても「うちにはもう十分在庫あるよ」状態になってしまっているので、HDLに変身することができません。

使えないLDLコレステロールは血管の内側に溜まっていき動脈硬化を進行させることになります。

このように動脈硬化の進行と、アディポサイトカインのような脂肪などを体でうまく使うための調整機能の不全により糖尿病や動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症につながっていってしまうというわけです。

メタボ早期発見!特定健康診査(特定健診)・特定保健指導(メタボ指導)

40歳から74歳のすべての被保険者・被扶養者を対象に「特定健診・特定保健指導」が実施されます。

メタボリックシンドロームを未然に防ぎ、危険性がある場合には改善できるように適切な指導を受けられるようにするということが目的になります。

特定健診の結果に基づき、必要に応じて保健指導が行われることになります。

例えば、糖尿病関係だと空腹時血糖値が100-125mg/dL、HbA1c5.6-6.4%を保健指導の対象としています。

行政からメタボを事前に予防し、ゆくゆく糖尿病や動脈硬化性疾患による病気にならないように働きかけをしてくれています。

でも、まずは肥満の予防と日々の生活習慣の見直しが一番ですね。

いかがでしたでしょうか。

メタボといっても実はかなり奥の深いもので、体に悪影響を及ぼす危険なものです。

糖尿病を予防するためにも、メタボにならないように気をつけていきましょう。

それでは!
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