【超高齢社会】糖尿病を持つ高齢者を介護している方へー高齢者の特徴・注意点ー

こんばんは。理学療法士のRYUです。

糖尿病をお持ちの方を介護しているご家族の方は多いと思います。

高齢者の場合には、糖尿病以外にも他のご病気を持っている場合が非常に多いです。

また、食事の好みが決まっていることがあり、食事制限が難しかったり、「もう年だから好きなものを食べさせたい」というご家族の方の思いもあるかと思います。

ここでは、高齢者に独特な糖尿病の特徴をおさえて、何に気をつけたらいいのかについて考えるきっかけにしていただけたらと思います。
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とにかく何か起こっても症状が出にくい

まず、低血糖の症状(動悸や冷や汗など)が出にくいです。

また、よく言われることですが高齢者は喉が乾きにくくて脱水になりやすいから熱中症に気をつけるといいます。糖尿病をお持ちだと高血糖によりさらに容易に脱水になります。

症状が出たときには既に重症であることも考えられるので、日々の体調管理についてはご家族の方がよく観察しておく必要があり、もし「あれちょっとおかしいな」と感じたときには、医療関係者に相談してほしいです。

それがシックデイを早めにとらえて対応できることにもつながると思います。

特に注意が必要なのは、一人暮らしの高齢者の場合です。ご自身で身の回りのことはでき、生活することは出来るけれども健康管理には周りの支援が必要な場合が多いので、注意しましょう。

といっても、そこまで家族だけでは把握しきればいという場合には介護保険制度を利用しましょう。
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介護保険制度をうまく活用する

介護保険とは、ヘルパーやデイサービス、看護師による訪問サービスや入浴サービスなどが1割の自己負担で利用できる保険で、65歳以上の方であれば利用することができます。

例外的にある特定のご病気の方の場合には40歳以上65歳未満でも介護保険を利用することができます。そのある特定にご病気の中に「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」も含まれています。

自己負担金は1割なので負担が小さく必要なサービスを受けることができます。

例えば、インスリンの自己注射が一人でやらせるのは不安だという場合にはヘルパーによる見守りもできますし、お薬をしっかり飲んだかの確認をしたり飲むように促したりしてくれます。偏った食事が心配である場合には食事の準備などもヘルパーに依頼することもできます。(一部条件があります)

また看護師による健康管理もできるので家族が何か異変に気づいたときには看護師に相談することも可能です。

リハビリテーションの専門職による訪問サービスもあり、自宅で運動を行うこともできます。

介護保険を利用するためには、市区町村に申請して、「要介護認定」をうける必要があるので、まずは最寄りの「地域包括支援センター」に相談してみて下さい。

認知症にならないためにも低血糖にならないようにしよう

認知症になると、血糖値のコントロールが悪化します。それはご本人の理解力が低下してしまったり、お薬を飲み忘れてしまったり、逆に飲みすぎてしまったり、インスリンを打ち忘れてしまったり、インスリンの打つ量を間違えてしまったり、偏った食事になってしまったり、生活リズムが崩れてしまったりなど様々な理由からです。

低血糖を何度も繰り返すことで、脳にダメージを与えてしまい物事を考えたり、判断したり、記憶力だったり集中力を低下させてしまういわゆる認知症になりやすいことが指摘されていて、高齢糖尿病患者の場合、糖尿病でない高齢者と比べて認知症のリスクは2-4倍になると言われいます。

私が勤務している病院にも多くの認知症の方が入院されますが、普段接していて思うのは、忘れてしまうこと、分からないことの悲しさです。「QOL(Quality Of Life;生命の質)」という言葉があります。認知症はその方のQOLを著しく低下させます。「その人らしさ」を奪ってしまう病気だと思います。なんとしても低血糖を予防していきたいところです。

予防するためには食事をしっかり摂って、お薬やインスリンをしっかり行うこと。そして日々の健康管理をしっかり行うことです。
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必ずしも血糖値を正常にすることが目標ではない

高齢者の場合の糖尿病の治療の目標は、健康な高齢者と変わらないQOL(生命の質)を維持することです。

そのためには、さきほど書いた認知症を予防することであったり、糖尿病の合併症を予防、既に合併症をお持ちの場合には進行させないことが目標になります。

もちろん、結果的には正常に近づけていくことになるのですが、あまりにも色々な制限をしてもその方のQOLを損ねてしまう可能性もありますし、他に重大なご病気が合ったりする場合には糖尿病の治療が優先ではない場合もあります。既に余命が短い方であったり、既に重度の認知症をお持ちの方、脳梗塞などのご病気で寝たきりの生活を送っていらっしゃる方など、個々の場合によってかなり個人差のあることかなと思うので、普段から医師とどのくらいを目標にしていくのかを共有しておくのがいいでしょう。

食事に関しては、年齢や体型、普段の活動レベルや血糖値、合併症や他にお持ちのご病気などの関係を総合的に考えて必要なエネルギーや栄養素の配分を考えていきます。これも個々の場合に応じて医師からアドバイスをもらいましょう。

運動に関しても、例えば膝が痛い、腰が痛いなどの持病や、体型、他のご病気の有無によってかなりの個人差がありますので一概にこれをしたら大丈夫ということもできません。

軽い運動から始めて、徐々に運動量を増やしていきましょう。これは、専門家から指導されていない方の場合にはマイペースでいいと思います。

いかがでしたでしょうか。

若年~中年の糖尿病の療養とは少し異なる高齢者の糖尿病の考え方や特徴、注意点などをまとめてきました。

もちろん、ここに書いてきたことだけではなく、色々な考え方があるかと思います。

しかし、一番は糖尿病に限らず、高齢者が「その人らしさ」をずっと持って、なるべく長くお元気でいられることかなと思います。少なくとも自分がこれから年を取っていくにあたってはそれが一番だと思っています。

介護保険制度については、今までに記事に書いていないので、今後まとめていけたらと思っています。

それでは!

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