こんばんわ!
これから食事療法を細かく見ていくために、今日は糖尿病腎症について少し書きます!
糖尿病腎症は、長期にわたる高血糖の結果、糖尿病特有の細小血管の障害により引き起こされる腎臓障害です。
疫学は文献によって幅があるのですが、日本臨床内科医会による実態調査と古くて申し訳ないですが、厚生労働省による平成19年国民健康・栄養調査の結果を参考にすると、糖尿病と診断されている方々の内、11-14%くらいの方が腎症を合併症としてお持ちのようです。また、糖尿病の罹患期間が長くなると合併しやすく20年の罹患期間で約20%の有病率だそうです。
腎臓は血液をキレイにする役割があり、糸球体という所でいらない老廃物は尿として排泄、必要な物は尿細管という所で再吸収するという役割があります。腎症でこれらが障害されると老廃物が体に溜まったり(尿毒症)、本来再吸収される物が排泄されてしまったり(アルブミン尿・タンパク尿)という状態になります。
〈スポンサーリンク〉
腎症は第1期から第5期に病期が分かれています。
病期 | 尿アルブミン(㎎/gCr)or
尿蛋白値(g/gCr) |
GFR(eGFR)(mL/分/1.73m2) |
第1期(腎症前期) | 正常アルブミン尿(30未満) | 30以上 |
第2期(早期腎症) | 微量アルブミン尿(30-299) | 30以上 |
第3期(顕性腎症) | 顕性アルブミン尿(300以上)or
持続性蛋白尿(0.5以上) |
30以上 |
第4期(腎不全期) | 問わない | 30未満 |
第5期(透析療法期) | 透析療法中 |
アルブミンは小さいタンパク質といった感じです。また、病期は必ずしも第1期から第5期に進行していくというわけではありません。
GFRは糸球体ろ過量のことで、尿を濾し出す能力といったところでしょうか。糸球体は無数にあり直接ろ過量を測定できないので病院などの検査ではeGFR(推定糸球体ろ過量)を測定します。eGFRが60 mL/分/1.73m2未満はCKD(=chronic kidney desease=慢性腎臓病)に該当するため糖尿病以外の腎障害の鑑別診断が必要です。
臨床ではどの病期の患者も担当させて頂いたことがありますが、腎不全期で透析療法を導入するかどうかという方の場合には尿毒症状によって体の倦怠感や全身性のむくみなどの症状があり動けなくなり廃用症候群に陥ってしまうリスクが非常に高いです。
第5期になると老廃物の排泄を機械によって行うため尿毒症状が改善し再び動けたりむくみが著明に改善したりといった方をみてきました。
第4期からどうなると透析療法に移行するのかについては、個々人の病態によって若干違いがあるのかもしれないのですが、自分の知っているところでは、日本腎臓病学会の透析導入基準というものがあります。これはまたの機会にご紹介します!
それぞれの病期で食事療法の指導内容が変わってきます。
糖尿病の方は自分が今どの病期なのか把握しておくことは非常に大切です。また、指導する側は検査値を元にフィジカルアセスメントと、個々の嗜好や生活背景などを聴取し主治医とどのような指導を実施していくのかしっかりと話し合うことが必要だと思います!
それでは!
〈スポンサーリンク〉
〈スポンサーリンク〉
コメント
[…] 糖尿病腎症の病期については、こちらの記事をご参照下さい。 […]