1型糖尿病とは

今回は1型糖尿病について、基本的な知識をつらつらと書いていきたいと思います。

定義:インスリンを合成・分泌する膵β細胞の破壊によって発症する糖尿病。

発症機序:主に自己免疫を基礎にした膵β細胞の破壊。HLAなどの遺伝因子に何らかの誘因・環境因子が加わって起こる。他の自己免疫疾患(甲状腺疾患など)の合併が少なくない。

家族歴:家系内の糖尿病は2型の場合より少ない。

発症年齢:小児~思春期に多い。中高年でも認められる。

肥満度:肥満とは関係ない。

自己抗体:GAD抗体、IAA、ICA、IA-2抗体などの陽性率が高い。

臨床的特徴:瘦せ型で若年発症が多い。ケトーシス、ケトアシドーシスに陥りやすい。時間経過とともにインスリン依存状態(絶対的なインスリン不足)となり、インスリン注射が必要となることが多い。

自己免疫性(1A)と特発性(1B)に大別される。

  1. 自己免疫性(1A)  自己免疫機序によって膵β細胞が破壊されて発症する1型糖尿病。患者血清中に膵島関連自己抗体(GAD抗体、IA-2抗体、膵島細胞抗体(IAA)など)が証明され、特に発病早期に陽性率が高い。一般に発症様式は急激であることが多いが、緩徐進行型のものもある(緩徐進行型1型糖尿病)。   
  2.  特発性(1B)  自己抗体などによる自己免疫機序の証明ができないままインスリン依存状態に陥るタイプの1型糖尿病。日本で同定された劇症1型糖尿病がここに含まれる可能性がある。

成因:1Aでは遺伝により疾患感受性が規定され、これに何らかの環境因子が加わり、自己免疫機序により膵β細胞の破壊が生じる。環境因子については現在確立されたものはない。ウイルス感染(ムンプス、コクサッキーB4、EBウイルスなど)や食事(牛乳から作られた粉ミルクで育てられた人の方が、母乳で育てられた人よりも発症頻度が高いという報告あり)の関与を示唆する報告があるが、否定的な報告もある。病理学的に、すい臓ランゲルハンス島周辺及び、内部にリンパ球浸潤を伴う炎症(膵島炎)と膵β細胞の消失を認める。1Bの成因は現在のところ不明。遺伝因子では、HLAの関与が大きく、日本人ではDR4、DR9が疾患感受性、DR2が疾患抵抗性を示す。

ここで、難しい用語の説明です。
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HLAというのは、human leukocyte antige=ヒト白血球抗原の略で、自己と非自己の区別や病原体に対する免疫応答の有無・強さを規定している細胞膜上の抗原のことです。

A.B.C.DR.DQ.DPなど多くの抗原の組み合わせで構成されており、さらにそれぞれが数十種類の異なるタイプ(アリル)をもち、両親から受け継いだ2つの型が一対となって1つのセットを形成しています。これもハプロタイプといい、ハプロタイプの組み合わせは数万通りともいわれています。

両親から半分ずつ受け継ぐため、親子や兄弟の間でも一致する確率は低く、非血縁間では数百~数万分の1の確率でしか一致しないと言われています。臓器移植などでは自分のHLAのタイプに合わないものはすべて異物と認識し攻撃をしてしまうため、HLAの適合性が重要となります。

HLA Laboratoryによれば、HLAがDR4の場合のオッズ比は4.0-4.3、DR9の場合には1.3となっています。

ムンプスはおたふく風邪として知られるムンプスウイルス。

コクサッキーウイルスは、エンテロウイルスのひとつで手足口病やヘルパンギーナなどで知られています。

EBウイルスはエプスタイン・バール・ウイルスというらしいです(これはあまり分からない)

ケトーシス、ケトアシドーシスについては、またの機会に詳しく書きたいと思います!

それでは!
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