糖尿病の合併症ー高浸透圧高血糖症候群ー

今回は、2型糖尿病の高齢者にみられる高浸透圧高血糖症候群について、つらつらと書かせてもらい、DKAとの比較をしていきます!

高浸透圧高血糖症候群;HHS( hyperosmolar hyperglycemic syndrome)

病態・成因:著しい高血糖と高度な脱水により血症浸透圧の上昇をきたし、種々の程度の意識障害を呈する。意識障害の程度は血症浸透圧値に依存する。インスリン欠乏の程度はDKAに比べて軽度であり、脂肪分解の更新はみられない。その結果、ケトーシスや代謝性アシドーシスは認めないか、あっても軽度。高齢の2型糖尿病患者に多い。

誘因:感染症のほか、高カロリー輸液、経管栄養、ステロイド投与、手術、心血管障害、利尿薬など、医原性のものも少なくない。高齢者の口渇感の低下も病態悪化の一因。治療が遅れれば、ショック、腎不全、合併する感染症、塞栓症などで死亡する。高齢で脱水が高度な例が多く、予後はDKAより不良。

身体所見:著しい脱水、ショックのほか、神経症状(痙攣、巣症状、振戦など)が特徴的。

検査所見:著しい高血糖(多くは600㎎/dl以上)、高浸透圧(350mOsm/L以上)、脱水、高窒素血症がみられる。アシドーシスは通常認めない。高ナトリウム血症を呈することが多く、高浸透圧に寄与する。

治療:大量輸液。速攻型インスリンの少量持続静脈内投与(約0.1単位/㎏/時間)を行う。治療の原則はDKAと同じであるが、特に高浸透圧への配慮(1/2生理食塩水)、ショック、併発するDIC、感染症、横紋筋融解症などへの積極的治療、輸液に伴う心不全の発症などにも注意する。高カロリー輸液の中止など、誘因の除去も重要。回復後は必ずしもインスリン治療の継続を必要としない場合が少なくない。

用語の説明です。

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巣症状(そうしょうじょう)とは、脳の破壊によって起こる症状のことです。

血漿浸透圧は通常275~290mOsm/Lです。

また、血糖値の正常値は空腹時血糖で110未満であることから、かなりの高血糖になるということが分かります。

また、DKAとHHSを併存して認める場合も多いようです。

これら急性合併症にならないためには、シックデイルールを守る。清涼飲料水の多飲を控えるなどが必要です。

シックデイルールについては今後詳しく書きたいとおもいます!

DKAと比較すると以下のようになります!

それでは!

糖尿病ケトアシドーシス(DKA) 高浸透圧高血糖症候群(HHS)
年齢 若年者に多い  高齢者に多い
病型 1型糖尿病に多い(不安定型) 2型糖尿病に多い
誘因 インスリン中止・減量、感染症、食事不摂生、手術、妊娠、ストレス、胃腸障害、清涼飲料水多飲など 心血管障害、脱水、術後、経管栄養、IVH、腹膜透析、薬剤(ステロイド、利尿薬)、感染症など
身体所見 意識障害、脱水、血圧低下、クスマウル大呼吸、呼気アセトン臭 意識障害、高度脱水、神経症状(痙攣、片麻痺)ショック
血糖 ≧300㎎/dl(多くの場合) ≧600㎎/dl(多くの場合>800㎎/dl)
尿ケトン体 +~+++  -~±
動脈血pH 低下(<7.3) 正常~やや低下(7.3~7.4)
HCO3- 高度低下(<10mEq/L) 正常~やや低下
血漿浸透圧 上昇(>300mOsm/L) 著明上昇(>350mOsm/L)
Na 正常~やや低下 上昇するものが多い

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