糖尿病の発症を予防するには-【必見】運動・食事-

こんばんは。理学療法士のRYUです。

このサイトでは今まで主に糖尿病の方を対象に知識のUp to dateを目的にお伝えしておりますが、

「糖尿病でない方がその発症を予防する!」

というのも大事なこのサイトの目的です。

先日、糖尿病の強い疑いがある方が1000万人を超えたというニュースがやっていました。1997年には690万人だったので、20年で300万人以上も増えていることになります。

このサイトが糖尿病の予防に役立てればとてもうれしいですね。

なので、今回は糖尿病の発症を予防するにはどうしたらいいのか。どんな人が糖尿病になりやすいのかについてまとめていきたいと思います。
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糖尿病の発症に影響するものとは

以下、厚生労働省のホームページからの引用になります。

日本人を対象とした横断的/経年的疫学研究による糖尿病の発症危険因子は、1)加齢、2)家族歴、3)肥満、4)身体的活動の低下(運動不足)5)耐糖能異常(血糖値の上昇)であり、これ以外にも高血圧や高脂血症も独立した危険因子であるとされている。
(1)年老いていくこと
(2)家族に糖尿病の方がいること
(3)肥満であること
(4)運動習慣がないこと
(5)糖がうまく体に取り込めないまたは過度な糖を摂取していること
それに加えて、高血圧と高脂血症(中性脂肪やコレステロールの値が高いなど)が糖尿病の発症に影響していると言われています。
(1)と(2)に関しては自分ではどうにもできないですよね。
なので、糖尿病の発症を予防するためには
(3)肥満であること
(4)運動習慣がないこと
(5)糖がうまく体に取り込めないまたは過度な糖を摂取していること
と高血圧、高脂血症
この5つをどうにかしていく必要があるということです。
それぞれ1つ1つ詳しくみていきましょう。

肥満であること

肥満というのは、BMI25以上のことを指します。

BMI=体重kg÷身長m÷身長m

で計算できるので、計算してみて下さい。

肥満は、それ自体がインスリンの効きを悪くするので血糖値を下げにくくしてしまう=高血糖につながります。

特にお腹ポッコリ肥満や、内臓脂肪たっぷり肥満の方は、インスリンの効きが悪くなりやすいとのこと。

なので肥満の解消は非常に重要だと思います。

実際に、糖尿病に至らないまでも糖の代謝に異常のある方に食事指導と運動をしてもらい体重を5%程度落としたところ、3年後、糖尿病への移行が58%減少したという驚異的な研究結果も出ています。

その研究では、体重1kg減量で糖尿病への移行リスクが平均16%減少するとのことです。

(アメリカのDiabetes Prevention Program;糖尿病予防プログラムの成果です。参考文献;Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin;Diabetes Prevention Program Research Group,N Engl J Med,2002,346,393-403)

また、世界63カ国16万8000人を対象にした大規模な研究では、ウエストとBMIがそれぞれ大きいほど糖尿病や動脈硬化性疾患(心筋梗塞など)の頻度が増すと報告しており、さらにBMIとウエストでは、ウエストの方が、これらの病気への影響が強いとしています。

(参考文献;International Day for the Evaluation of Abdominal Obesity (IDEA): a study of waist circumference, cardiovascular disease, and diabetes mellitus in 168,000 primary care patients in 63 countries;circurlation,116(17),2007,1942-51.)

ウエストとの関連のほうが強いことや、お腹ポッコリ、内臓脂肪というと、メタボ(メタボリックシンドローム)も糖尿病と関係ありそうですよね。おおありです!

またメタボについては別の機会に書きますね。
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運動習慣がないこと

運動習慣がなくても糖尿病を発症しない方も多くいらっしゃるので、運動しないと糖尿病になるということではないです。

ただ、運動習慣のある方に比べてない方というのは肥満になりやすかったりして糖尿病の発症と関連します。

実際に、テレビの視聴時間が2時間以上になると糖尿病の発症リスクが1.2倍になるという論文も出ています。

(参考文献;Grøntved A, Hu FB (2011) Television viewing and risk of type 2 diabetes, cardiovascular disease, and allcause mortality. JAMA 305: 2448-2455)

運動すると体にどのように作用するのでしょうか。

血糖値が下がるというのは、糖を血液中からどこかしらに吸収しているということです。どこに吸収しているかというと、主に肝臓、筋、脂肪などです。

運動のことを説明する場合には、特に筋に着目していきます。

筋肉に蓄えられた糖は運動時などにエネルギーとして消費されます。

インスリンの働きにより、筋の中にある糖輸送体(GLUT4;グルットフォー)という運び屋が血液中の糖を筋肉内に取り込みます。

インスリンの働きをきっかけにして作用するので「インスリン依存性糖輸送」と言われています。

また、この糖輸送体は、運動による刺激にも反応し糖を筋肉内に取り込んでくれます。

これはインスリンの働きとは関係ない運動をきっかけにして作用するので「インスリン非依存性糖輸送」と言われています。

これが、運動による血糖値を下げるメカニズムの1つです。

筋肉は全身に張り巡らされています。そう考えると、これを糖尿病の予防に使わない手はないですよね!

糖がうまく体に取り込めないまたは過度な糖を摂取していること

糖が体にうまく取り込めないというのは、いわゆるインスリン抵抗性が増大しているということで、肥満やストレス、高血糖などにより起こります。

過度な糖の摂取は、もちろん糖尿病の発症につながります。

特に最近注目されているのが「血糖値スパイク」と呼ばれている食後の血糖値の急上昇と急下降です。

炭水化物や糖分を摂取することで血糖値は上がるのですが、その上がり方が急すぎると動脈硬化性疾患(心筋梗塞など)や糖尿病の発症に影響すると言われています。

健常者では、血糖を正常に保つ機能が保たれているので、食後に高血糖になったとしても血糖値はまた元に戻ります。しかし、この血糖値を急上昇と急下降というのが血管にダメージを与えるので、健常者であってもそのような食事の摂り方はよくないです。

また、一時的であっても高血糖状態というのは、それ自体がインスリンの効きを悪くするので、高血糖→インスリンの危機が悪い→高血糖という悪循環に陥ってしまう原因にもなってしまいます。

甘いものは食べすぎてはいけない、食事はバランス良く食べなければいけない、間食は良くない、腹八分目になど小さい頃から親に言われてきたことありませんか。

血糖値スパイクというのは、親から言われ続けてきた言葉の1つの理由になると思います。

やはり食事の内容や摂り方には注意が必要ということですね。

高血圧、高脂血症

これら自体が糖尿病に独立して影響するということに関しては、ちょっと不明な点もあるのですが、高血圧・高脂血症(中性脂肪やコレステロールの異常)は、動脈硬化の危険因子とされていて、他の因子には糖尿病も名を連ねていますので、確実に関係はあるかと思います。

糖尿病の動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)の発症率は、糖尿病でない方に比べ3-5倍高いといわれており、糖尿病患者の主要な死亡原因です。

高血圧・高脂血症だから糖尿病(高血圧・高脂血症→糖尿病)になるという論文はみつけたらまた紹介します。

糖尿病の発症を予防するためには

糖尿病の発症に関連する要因についてみてきました。

以上のことから糖尿病の発症を予防するにはどうしたらいいのかを考えていきます。

適正な体重を維持する

BMIの標準は18.5~25未満です。

食事と運動で適正な体重を維持しましょう。

食事だけだと「適応現象」といって途中から痩せにくくなります。なので、運動と併用することが必要かと思います。

体重1kgあたりのカロリーは7000kcalですので、これも減量するときの参考にしてみて下さい。

急激な減量は後にリバウンドの原因となるので1ヶ月に1-2kgずつ減るように計画的に長い目で行っていきましょう。

運動を始めましょう

激しい運動は血糖値を上昇させることがあります。

糖が急激に消費されるので、肝臓に溜め込んでいる糖(グリコーゲン)を分解して放出するためです。

運動は、ウォーキングがオススメです。高齢の方の場合には水中ウォーキングなどもいいかと思います。

辛くないですし、今の時期涼しくなってきて(ここ数日暑いですが)ウォーキング日和です。

先ほどの筋での糖の利用のことを考えると全身の筋肉がなるべく参加できるような運動だといいですね。

また、座位時間を少なくする=身体活動量を増やすというのも効果的かと。

特に地方にいらっしゃる方は車に乗る機会が多いので1日の中であまり歩かないことが統計でも出てきています

歩行のガイドラインというものも出ています。

食べ過ぎ、間食、飯抜きなどはやめましょう

過度な大食いは食後の高血糖=血糖値スパイクに直結してしまいます。

間食もインスリンを不用意に分泌させてしまうので控えましょう。

飯抜きは、空腹を助長し大食いにつながるのでやめましょう。

そして、血糖値を上昇させるのは糖質なので炭水化物や糖の取り過ぎはやはりよくないかと思います。糖質1gで健常者の血糖値は0.8-1.0mg/dL上昇するようです。

糖質制限とカロリー制限について

しかし、相対的に増える脂質などの摂取が体に安全なのか、動脈硬化につながるのではないかについては、はっきりとした結論が出ていないのかなとも思います。

なので、過度な糖質制限をするのではなく、例えばロカボで勧められているような糖質130g/日などを行ってみるのもいいかもしれません。大切なのは、自分が摂っている食事が糖質でいうとどのくらいの量なのかを意識することかと思います。例えば、

「ご飯1杯(150g)、糖質55gかー。じゃあ血糖値は40-50mg/dLくらいあがるから、私の血糖値が100mg/dLくらいだとすると食直後は140-150mg/dLくらいにあがるのかなー。急激な上昇を抑えるためにサラダから食べよう。デザートにアイス(糖質40g)を食べようかと思ったけれど、やめて、カシューナッツにしておこうかな」なんて感じです。

(ここまでできていたらセミプロですね!)

そこまでいかずとも意識付けのために例えば130gと決めておくといいのはないかと思います。

いかがでしたでしょうか。

結局、糖尿病にならないためには日々の生活習慣を改善していくことが一番いいということです。

それでは!
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