糖尿病だと就職、職業選択への影響はあるのかーこれから就活、既に働かれている方の働き方ー

こんにちは。理学療法士のRYUです。

近年、若者の糖尿病患者が増加傾向であることは、今までも何回もお伝えしてきました。若者がこれから就職活動を進めていくにあたって、糖尿病は障壁(バリア、壁)になるのでしょうか。また、糖尿病だと就けない職業はあるのでしょうか。

糖尿病の治療しているすべての若者が自分に自信を持って自らを企業にアピールしていけるように、ここでは糖尿病という病気に特化して就職活動への影響や職業を選ぶ時の参考になるような情報をまとめていきたいと思います。
〈スポンサーリンク〉



糖尿病で車の運転のときに気をつけることー「無自覚性低血糖」だと免許失効の可能性もー

「無自覚性低血糖」というのは、自分では気づかない内に血糖値が下がり、気づいたときには意識障害などの重大な症状を起こしてしまう状態のことです。

一般的な低血糖というのは、血液中に含まれる血糖値の数値が70mg/dL以下になってくると交感神経が働いて血糖値をあげようとするため、その時の症状として発汗(冷汗)、手の震え、動悸(胸のドキドキ)などが出てきます。さらに50mg/dL以下になってくると中枢神経がブドウ糖不足になるため、頭痛、眼のかすみ、集中力の低下などを引き起こし、30mg/dL以下になると痙攣発作、昏睡などに至ります。

無自覚性低血糖の場合には交感神経が働くことで出る症状(発汗、手の震え、動悸など)が出ないことがあります。つまり、意識障害などの重大な症状が段階を踏まずに突然起こる可能性があるということです。

無自覚性低血糖の原因としては、普段から低血糖気味の場合であったり、糖尿病神経障害になっている場合、低血糖を何度も起こしている場合などが考えられています。

道路交通法では、2002年から「運転免許を与えない者もしくは保留することができる者」の中に、「発作により、意識障害または運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの」が規定されていて、その中に無自覚性の低血糖(人為的に血糖を調節することができるものを除く)が含まれています。

免許の取得や更新の際に虚偽の申告をすると、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられてしまいます。
では、無自覚性低血糖となったらもう運転はできないのかというと決してそういうわけではないようで、適宜主治医の意見や診断、意見を参考にしながら、「安全な運転に支障を及ぼす意識消失などの症状の前兆を自覚できている」と診断した場合や、「運転中の意識消失などを防止するための措置を実行できているので、運転を控えるべきとはいえない」と診断した場合には、運転をすることができるようです。
また、一度免許を失効してしまった場合で、無自覚性低血糖が起こらなくなったから再取得をしたいという時には、失効から3年以内であれば試験の一部が免除されるそうです。
つまり、糖尿病があって車の運転を安全に続けていくためには日々の血糖値をしっかり管理して「何度も低血糖を起こさない」「糖尿病神経障害にならない」ことが大切かなと思います。
仕事で車を使う場合は大変多いと思いますので、ここはしっかりしておきたいところですね。

〈スポンサーリンク〉



糖尿病でも安全に働くために!制限・条件のある職業

先程も書きましたが、低血糖で意識障害を起こす可能性があったり、また糖尿病神経障害で「起立性低血圧」が起こる可能性があると安全上の問題から、就職するにあたって制限・条件がある可能性がある職業があります。

○職業運転手

パイロット、タクシー、バス、電車など

○高所作業者

電気工事関係者、とび職、大工、左官など

○水中作業者

潜水士など

これは、下手をすれば命の危険もあるためです。ただし、糖尿病をお持ちでも自信で低血糖などの管理が十分に行えると医師が判断している場合には働くことも可能だと思います。

日本では、糖尿病患者を労働者として守る法律はないようですが、

公務員は長期疾病休職規定があったり、民間企業でも私傷病保障がある場合も多く、これらを活用することも可能です。

働きながら、しっかり糖尿病の療養をするために

糖尿病腎症がある場合には、その重症度によっては重労働が適さない場合があります。一般的には、腎症3期(顕性腎症期)からは作業程度、4期(腎不全期)からは軽作業程度にするのが望ましく、職場の理解も必要になってきます。

夜勤など不規則な勤務スタイル(看護師、警察官、警備員など)は食事や睡眠の時間が不規則であるため、血糖コントロールが乱れやすいです。食事回数(例えばどうしても1日3食食べている時間がない場合)や、勤務時間については医師に相談して薬の種類や飲むタイミングなどを工夫することができるので、ぜひ相談してみて下さい。

産業医がいる企業などは相談しやすいかもしれないですね。産業医がいない場合には、やはり職場の上司や同僚の理解・協力が必要になってくると思います。

例えば、歓送迎会や仕事終わりに一杯などとアルコールを摂取する機会もあって、上司からの誘いは断りにくかったり、接待となったらなかなか飲まないわけにはいかないということもあると思います。

糖質制限を勧めている先生の中には、焼酎やウイスキーは飲んでもOKという先生もいますが、これは薬の種類によるところもあります。

アルコールは血糖値を下げる薬の作用を強める作用があり、「夕食を兼ねてこれから飲み会だー」という場合に薬を飲んで、アルコールも摂取したりすると血糖値が下がりすぎて低血糖を起こすこともあります。

上司にこれらのことを伝えて、理解してくれたら働きやすいですよね。これは糖尿病と闘っている部下を持つ上司のみなさんにも読んでいただきたいですね。

糖尿病の就職活動への影響は?

職業を選択するのは、働く労働者の自由です。なので、糖尿病だからこの仕事はできない、自信が持てないと消極的になる必要はありません。

ただし、自分の命に関わる場合もあるので、その選択の段階からしっかり自分で判断していく必要がありますし、糖尿病が理由で仕事が続けられないなんてことにならないためにも日々自己管理を徹底していく必要があります。

日本1DDMネットワークのホームページ内に興味深い記事があります。

1DDMというのは、1型糖尿病のことですが、就職について実際に就活を行った方々のアンケート調査の結果と採用する側の意見などが書かれています。

履歴書の中には健康状態を書く欄があります。

そこに、糖尿病であることを書いて面接時にそれについて聞かれることもあるようです。しかし、これから採用しようかどうしようかという人間が糖尿病であることが企業側にとって不利に思われないように、自分の状態をきちんと説明し「自分は糖尿病だけれども、企業に対してこれだけ使える人材です」ということをアピールすれば大丈夫だと思いました。

また、理解が得られない企業で働くのはやめたほうが良いというのも、そのとおりかなと。

糖尿病は今後一生付き合っていく病気であり、仕事も定年まで長い間行っていくものです。その2つの折り合いが上手くつかないのであれば、それはどちらかを犠牲にしていかなくてはならなくなります。

その場合優先するのはもちろん糖尿病の方であり、自分がしっかり糖尿病の療養を続けながら、かつ一生懸命企業の発展のために働ける職場をぜひみつけていただければと思います。

いかがでしたでしょうか。

ぜひ、自分にあった職場をみつけていただければと思います。

それでは。
〈スポンサーリンク〉



%d人のブロガーが「いいね」をつけました。