意外な関係ですが、糖尿病は骨粗鬆症になりやすいです。

こんばんは。理学療法士のRYUです。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨がもろくて折れやすくなってしまう病気でご高齢の方に多く見られます。

そんな骨粗鬆症ですが、糖尿病の方はそうでない方に比べて骨粗鬆症になりやすいんです。

糖尿病が、骨と関係があるの?という感じですが、実際そうらしいんですね。

今回は、糖尿病と骨粗鬆症の意外な関係についてまとめていきたいと思います。
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骨粗鬆症とは

ここで、Wikipediaから言葉の定義を引用します。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう、骨粗しょう症、osteoporosis)とは、後天的に発生した骨密度の低下または骨質の劣化により骨強度が低下し、骨折しやすくなる疾患あるいはその状態を指す。(Wikipediaより引用)

ざっくりというと、さきほど書いたように「もろくなり、折れやすくなる病気」という感じなのです。

骨粗鬆症には、2つの種類があります。

1つは、いわゆる女性の閉経後のホルモンバランスや老化によって起こるもので、「原発性骨粗鬆症」といいます。そしてもう1つは、なんらかの原因で起こるもので「続発性骨粗鬆症」といい、糖尿病と関係しているのは、この続発性骨粗鬆症になります(他に、栄養によるもの、薬によるものなどが続発性に含まれます)。

ここでのポイントは「骨密度(骨の詰まり具合)の低下と骨質(骨自体の強さ)の2つ原因がある」というところです。

みなさん、骨密度だけだと思っていませんでしたか?正直、私は以前まで骨密度の問題なんだろうなと思っていました。

骨密度というと、骨が一定の範囲の中にどれだけギュッと詰まっているかというイメージで理解できるのですが、骨質というのはどう理解したらいいのでしょうか。

骨質とは、骨の強度(構造)のこと

とてもわかりやすい画像があるのでご紹介します。

(公益財団法人三菱養和会ホームページより引用)

骨は、カルシウムからできていますが、中身はコラーゲンが主成分でそれらが互いにしっかりつながれて強度を保っています。

このつながりの良し悪しが骨の強度を左右するというわけです。

ちなみに、赤いつなぎ目が糖尿病の骨粗鬆症に見られるものです。ペントシジンというのは、AGEs(エージス)という体の様々な老化に関する物質のことで、高血糖状態が続くとこのような赤いつなぎ目が増えます。

また、このAGEsは新しく骨が作られるのを妨げたりする働きもあるようです。

すると、骨の強度は落ちて、結果的に骨粗鬆症となってしまうわけですね。
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糖尿病と骨粗鬆症の関係

糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病があります。

ともに、骨折のリスクは高くなります。

まず1型糖尿病では、骨密度の低下が見られるようです。

ある研究では、糖尿病でない方と比べて大腿骨頸部骨折のリスクは6-7倍になったそうです。

椎体骨折(背骨の骨折、圧迫骨折ともいいます)は、骨密度の低下から推測されるリスクは、糖尿病でない方と比べ3-4倍になったそうですが、実際にはさらに骨折リスクが高く、骨密度以外の原因も考えられており、その1つが骨質だと言われています。

一方、2型糖尿病では、骨密度は正常もしくは高いです。

しかし、糖尿病でない方と比べて大腿骨頸部骨折のリスクは1.4-1.7倍になったそうです。

糖尿病では、糖尿病神経障害によってバランス障害を起こして転びやすくなることから、骨折のリスクが上がるのではないかという意見もあったようですが、転びやすさを考慮したとしても骨折しやすいということが研究でわかっています。

骨密度は正常か、むしろ高いくらいなのに骨折のリスクが高くなるということで、原因として骨質の低下が関与していると言われています。

また、HbA1cが7.5%以上のいわゆる血糖値のコントロールが不良の場合には、糖尿病でない方と比べて骨折リスクが高いという研究もあり、特に血糖値のコントロールが上手くいっていない場合には注意が必要です。

糖尿病の薬による影響

糖尿病の飲み薬でも、骨折する可能性があるものがあります。

例えば、チアゾリジン薬というお薬では骨折するリスクが1.5-2.5倍に増えるという結果も出ているようです(原因はいまだ不明な点が多いようです)。

また、メトホルミンというお薬ではヒトでは明らかになっていないそうですが、骨の形成を助けるような作用も認められているということです。

さらに、インクレチン製剤という、いわゆるDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬といったものでは、骨質や骨の形成を助けるような働きや、チアゾリジン薬と併用した場合にチアゾリジン薬による骨折リスクを抑制してくれる働きがある可能性があるそうです。

糖尿病による骨粗鬆症を予防するには

まずは、血糖値のコントロールを適切に行うことです。

さきほども書きましたが、骨質を低下させるペントシジンは高血糖が続く状態でできてきてしまいますので、血糖値をうまくコントロールできていれば予防できる可能性があります。

しかし、研究によっては、厳格に血糖値を管理した場合と普通に管理した場合とで骨折リスクに差がなかったとしているものもあり必ずしも血糖値のコントロールのみで予防できるかというといまだ不明な点も多いです。

また、食事でカルシウムやビタミンDを不足しないように補うことも勧められています。

運動をすることで現在の骨の機能を維持することに有効といわれており、適度な運動も大切です。

いかがでしたでしょうか。

今回は、意外に知られていないであろう糖尿病と骨粗鬆症についての関係についてまとめてみました。

いまだ分かっていないことも多く、糖尿病と骨粗鬆症の関係については医療機関においても過小評価されている印象もありますが、骨折はご高齢の方が寝たきりになってしまう原因にもなりますし、生活の質を落としてしまうものなので、是非予防していきたいところですね。

それでは!
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