糖尿病で「腎症があります」と言われたときに特化した食事はこれ

こんばんは。理学療法士のRYUです。

理学療法士なのに運動のことをあまり書かず、今まで食事や薬のことなんかをたくさん書いていますが、日本糖尿病療養指導士の勉強をしていたときに、とても興味を持ったので、よく調べています。

今日のニュースで大手寿司チェーンが低糖質の寿司をはじめたというニュースをみましたが、糖質についての関心の高さを感じました。

糖質を制限することによる効果や危険性については、こちらなどでご紹介しています。

糖質制限vsカロリー制限

糖質制限食は糖尿病に良いのか

糖質制限についての日本糖尿病学会の考え

低糖質食と死亡率

さて、話がそれてしまいました。今日は、以前記事に書いた糖尿病腎症の食事について病期(ステージ)ごとにまとめます。

糖尿病腎症はその重症度によって5段階(軽症Ⅰ~Ⅴ重症)にわかれていますので、糖尿病腎症と言われた方は自分がどこのステージなのかを確認した上でご覧くださいね。

糖尿病腎症があると通常の糖尿病の食事とは違って制限が厳しくなります。

なにが厳しくなるのか、、

キーワードは「カロリー」「タンパク質」「塩分」「カリウム」です。
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まずは「カロリー」制限について

通常、糖尿病の食事では「1日のカロリーは○kcalで収めましょう」というカロリーを計算するときに、このようにして求めます。

エネルギーkcal=どのくらい活動する人なのか(身体活動量)×標準体重kg

どのくらい活動する人なのか(身体活動量)は、おおまかな目安で

デスクワーク…25-30

立ち仕事…30-35

力仕事…35-

となっています。

標準体重は、22×身長m×身長mの結果を入れてください。

一方、糖尿病腎症の場合ですが、、

Ⅰ~Ⅲ期…エネルギーkcal=25-30×標準体重kg

Ⅳ期…エネルギーkcal=25-35×標準体重kg

Ⅴ期…30-35×標準体重

で計算します。

つまり、Ⅰ~Ⅲ期の方はデスクワークと同じような計算で、Ⅴ期の方は力仕事と同じような計算になります。(注;Ⅴ期の方の場合には血糖値や体重なども考慮するので必ずしも30-35になるとも限りません。)

なぜ、重症になるほど摂っていいカロリーが増えるかという説明をします。

糖尿病腎症では、後ほど説明しますが、タンパク質の量を制限する必要が出てきます。

カロリーが不足すると自分の体にあるタンパク質を生きていくためのエネルギーとして使用します。すると結果的に本来タンパク質が使われるべきところに使われなくなってしまうので、「カロリーは少し多めでも良いですけど、タンパク質は制限しますよ」といった感じで行っていくということです。

次に「タンパク質」制限について

なぜ、タンパク質を制限する必要があるかという理由を説明します。

体では余分なタンパク質があった場合には、腎臓で処理されたあとに尿から廃棄されるのですが、これが腎臓への負担になってしまうんです。

糖尿病腎症がない糖尿病の方の食事の場合には、

タンパク質量g(1日あたり)=標準体重×1.0-1.2

で計算されます。

一方、糖尿病腎症の方の場合には、

Ⅰ~Ⅱ期…タンパク質量g(1日あたり)=標準体重×1.0-1.2

Ⅲ期…タンパク質量g(1日あたり)=標準体重×0.8-1.0(腎臓の状態によってⅣ期と同じ制限になることもあります)

Ⅳ期…タンパク質量g(1日あたり)=標準体重×0.6-0.8

Ⅴ期…タンパク質量g(1日あたり)=標準体重×0.9-1.2

で計算されます。

なぜ、Ⅴ期では、重症なのに摂っていいタンパク質の量が多くなるのかを説明します。

Ⅴ期というのは人工透析を行う段階です。透析を行うと、体に必要なアミノ酸が出ていってしまうのである程度タンパク質を摂って補って上げる必要があるんですね。

そして「塩分」制限について

一般的に過剰な塩分は高血圧などにつながるので摂りすぎはよくないですよね。

糖尿病の場合も同じです。過剰な塩分摂取は、高血圧を引き起こし、また食欲を増す効果(悪い方の)があるんです。高血圧だと、血管障害を起こす可能性があがってしまうので、制限をしていく必要があります。

血管障害による代表的な合併症について

糖尿病腎症のない糖尿病の方も、高血圧があれば1日6g未満に制限するように言われると思います。

一方、糖尿病腎症の方の場合には、

Ⅰ-Ⅱ期…高血圧があれば1日6g未満

Ⅲ-Ⅴ期…1日6g未満(Ⅴ期で腹膜透析という透析を行っている場合には、また別で計算をして決めていきます)

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最後に「カリウム」制限について

糖尿病腎症でカリウムを制限する理由を説明します。

カリウムは、体になくてはならないものですし、体を健康に維持していくには必要なものです。

余分なカリウムは腎臓で排泄されてバランスをとっています。

しかし、腎臓が弱っていると余分なカリウムを排泄する機能が落ちて、体にたまってしまいます。カリウムは適量であれば、体に必要なものなのですが、過剰に体にあると、よくない不整脈を引き起こすため注意が必要なんです。

糖尿病腎症のない糖尿病の方の場合には、特に制限といったものはありません

一方、糖尿病腎症の方の場合には、

ⅠーⅢ期…制限なし(Ⅲ期で高カリウム血症;血中のカリウムの濃度が高い場合には1日2.0g未満に制限)

Ⅳ期…1日1.5g未満に制限

Ⅴ期…1日2.0g未満に制限(腹膜透析という透析をされている方の場合には制限なし)

となります。

いかがでしたでしょうか。

少し、数字ばかりでわかりにくかったかもしれませんが、ご自身で食事を気をつける際の参考になれば幸いです。

もちろん、自己判断で行うのは危険なのでかかりつけの医師、栄養士さんに相談しながら行って下さい。これを知って話を聞くのと、知らないで聞くのとでは理解力に差が出ると思いますよ。

特に医療従事者の方は、こちらもどうぞ。

食事療法(糖尿病腎症合併編)

それでは!
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