糖尿病の食事は糖質制限vsカロリー制限ーカロリーの単位って?糖質は何gまで?ー

こんばんは。理学療法士のRYUです。

糖尿病の治療と言うと一番に頭に思い浮かぶのは「食事制限」「カロリー制限」ではないでしょうか。

最近では、「糖質制限」という言葉もよーく聞かれるようになりました。

糖尿病の治療として食事を考えた時に、カロリー制限と糖質制限という2つはどちらがよりいいのでしょうか。

現状をまとめてみたいと思います。

糖尿病の食事療法の中心はカロリー制限

今までに病院で糖尿病の食事について栄養士さんなどから話を聞く機会があった方はよくご存知だと思うのですが、病院ではカロリー制限を中心に指導することが多いと思います。

実は、日本糖尿病学会が発行している糖尿病治療ガイドには、食事療法はカロリー制限が中心に書かれているんです。

少し引用してみます。

性、年齢、肥満度、身体活動量、血糖値、合併症の有無などを考慮し、エネルギー摂取量を決定する。通常(患者の標準体重を考慮する必要があるが)、男性では1400~2000kcal、女性では1200~1800kcalの範囲にある。(糖尿病治療ガイド2014-2015より引用)

書いてある通り、その患者さんに合わせてカロリーを決めて、その範囲内でバランスの良い食事をしてくださいね!というのが、一般的な食事指導内容になります。

病院の栄養士さんたちも、これらを元に勉強してきているので当然、患者さんに指導する内容もこれに沿ったものになるんですね。(栄養士さんたちが悪いという意味ではありません)

栄養士さんたちはそれぞれの患者さんに合ったカロリー数を計算し、80kcalを1単位として「あなたは○単位以内に抑えましょう」「それぞれ炭水化物に○単位、タンパク質に○単位、脂質に○単位と振り分けます。その単位を守るとバランスの良い食事になるのでやってみてください」といった具合に指導していくことになります。

では、糖質制限についてはどうでしょうか。
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日本糖尿病学会は「糖質制限」の食事を認めていない

日本糖尿病学会は2013年にこういった提言をしています。

こちらでも触れていますので、よろしければご覧ください。

糖質制限についての日本導尿病学会の提言

言葉は難しいですが、少し引用してみます。

体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。(糖尿病における食事療法の現状と課題 より引用)

簡単に言えば、糖質制限は長い目で見た時にまだ安全な方法なのか分かっていないから認められないということです。

では、糖質制限はやはりダメなんでしょうか。

糖質制限が有効だと言われ始めている

有名な先生では、

「炭水化物は人類を滅ぼす」の著者「夏井睦(なついまこと)先生」

多くの糖質制限についての本を出版されている「江部康二(えべこうじ)先生」

「ケトン体が人類を救う」の著者「宗田哲男(むねたてつお)先生」

「糖質制限の真実」の著者「山田悟先生」

などが糖質制限は効果があるとおっしゃっています。

私も、それぞれの先生の著書を拝見しましたが、確かな根拠にもとづいていて説得力のあるものでした。

江部先生の著書についてはこちらでも触れていますので、よろしければご覧ください。
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江部康二先生の著書「糖質制限革命」について

糖質制限の課題とは

これは私の個人的な意見ですが、「糖質制限」という言葉が独り歩きしてしまっているような気がしています。

一口に「糖質制限」といっても、どのくらい制限するかによって色々な種類があります。

例えば、江部康二先生が自身で実践されているのは1日の糖質を40g以内に抑えた糖質制限ですし、山田悟先生が提案しているのは1日130g以内の糖質制限です。

これは、いつか別の記事にしたいのですが、糖質を40g以内にするのと130g以内にするのとでは体に起こる変化や制限の大変さなどが大きく変わります。

例を挙げると、白米ご飯一杯に含まれる糖質は約55gです。江部先生が行っている方法では1日にご飯1杯食べられませんが、山田先生の方法では1日に2杯半くらい食べられます。

素人感覚で考えても、この2つは同じ「糖質制限」として考えてはいけないことがわかるのではないでしょうか。

糖質制限は効果があるのか

私個人としては、効果はあるのではないかと思っています。

実際に効果があるとしている研究論文も発表されています。

こちらでも触れていますのでよろしければご覧下さい。(内容やや難しいです)

糖質制限の効果を示す論文についての考察1

糖質制限の効果を示す論文についての考察2

ただし、糖尿病治療中の方が糖質制限を個人の判断で勝手に行うのは賛成しません。

なぜなら、血糖値を抑えるために薬やインスリンを行っている場合には、糖質制限をすることで急性の合併症(特に低血糖症)を引き起こしてしまう恐れがあるからです。

また、糖尿病の3大合併症の有無によっても糖質制限が適さない可能性も考えられます。

「糖尿病の食事どうしたらいいのかなー」と迷ったときには医療機関に行ってみて下さい。行くと、そこにはカロリー制限を中心に教育されているスタッフが多くいると思いますが、「糖質制限についてきいたけれど、自分が行ってもいいものなのか、行うとしたら自分の場合にはどのくらい制限するのがいいのか」ということを質問してみて下さい。

私達医療スタッフも、卒業後に糖質制限については勉強を重ねているはずです。

しかし、糖尿病学会が認めていなかったり、まだ有効性が出始めて間もない糖質制限についてそれを中心に指導することにためらいがあったりする医療機関があることも確かだと思います。

医師、看護師、薬剤師、理学療法士を中心にそれぞれの方に合った方法を指導してくれると思いますので、そこに糖質制限を取り入れるべきかまずは相談してみるのが一番だと思います。

それでは。
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