低糖質食と死亡率-メタ解析-

こんばんわ!

今回は低炭水化物食と死亡率についてのメタ解析(複数の論文のデータを統合し、統計的に分析する方法)をご紹介したいと思います。

Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies(リンクで飛べます)

メタ解析の対象:9つの海外論文

対象:糖尿病のない27万2216人(追跡期間5-26年)

結果:低糖質食の場合には31%総死亡リスクが有意に高値だったとのことです(95%信頼区間は1.07-1.59)。

また、低糖質群と高糖質群とを比較したものでは低糖質群において死亡率が10%高値だったとのことです(95%信頼区間0.98-1.24)。

ともに、低糖質食によって死亡リスクの上昇がみられています。

今回のメタ解析では、抽出された論文にバイアスがかかっている可能性についての指摘もあります。糖尿病に対する食事療法の研究においては、特に単一の栄養素のみの効果を検証するのが難しく、例えば低糖質食といっても、相対的に増えるであろうタンパク質、脂質による影響であったり、腎機能による影響など様々な要因が絡むためです。

糖尿病のない方を対象としたものなので、糖尿病患者でも同じかというと、それはいうことはできませんが、いずれも死亡リスクは減ってはいないということなので、糖尿病の方に限らず長期的な低糖質食の影響についてはまだ不明なところも多いというのが現状なのではないでしょうか。

あるアンケート調査では糖尿病の方の8割以上の方が食品買うときに糖質を気にされたことがあるという結果があるように、糖質を気にされることは大変すばらしいことだと思うのですが、特に糖尿病をお持ちの方の場合には、内服やインスリンで血糖値をコントロールしているため、以前書いたように、脱落してしまう可能性の高い極端な糖質制限や自己判断による極端な糖質制限は血糖コントロールを乱す原因になるだけでなく、低血糖発作などの急性合併症を惹起する可能性もあるため、避けた方がよく、医療機関にて専門家指導のもと取り組まれる方がいいと感じました。

今回は、以前ブログに書いた調べてみたいことのうち

最近の研究ではコレステロールの摂取量を減らしても動脈硬化症や心疾患のリスクの減少には至らなかったというものが出てきているようです。糖質制限をするということは必然的にタンパク質や脂質の摂取割合が増えるということです。合併症がある方や1型糖尿病の方でも糖質制限というのは有用なのでしょうか。(以前のブログ記事より)

という点に関連した論文かなと思います。

また随時調べたものについてお伝えしていければと思います。

それでは!

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